
海外でeSIMが繋がらない原因のほとんどは、設定のちょっとした見落としです。正しい順番で確認すれば、多くは5分ほどで復旧します。ただし一つだけ、最初にやってしまうと取り返しのつかない操作があります。空港やホテルで焦っているときほど、まずは深呼吸して、このページを上から順に試してみてください。
この記事でわかることは、次の3点です。
- 今すぐ試すべき初動と、絶対にやってはいけない操作
- 自分の症状から原因を特定する診断ナビ(iPhone・Android別の手順つき)
- それでも直らないときの問い合わせ先と、移動中に通信を確保する代替手段
症状から探したい方へ:このあとの「症状から原因を探す」の表から、ご自身の状態に近い項目へ進めます。
まず深呼吸|繋がらなくても「削除」だけは絶対にしないで
繋がらないと、つい「一度消して入れ直そう」と考えてしまいます。ですが、その操作こそが最も危険です。海外旅行用のeSIMは、一度削除すると同じQRコードを読み直せず、買い直しになるケースが少なくありません。
直すための正しい初動は、削除ではなく、機内モードの切り替えと再起動です。ほとんどの一時的な不具合は、この2つで解消します。
【結論】:繋がらないときに真っ先にやるべきは、機内モードのオンオフと再起動です。eSIMの削除は、あらゆる手を尽くした最後の最後にだけ検討してください。
私自身もサポートの現場で、復旧できなくなったご相談の大半が「焦って先にプロファイルを削除してしまった」ケースでした。削除はほんの数秒ですが、後悔は旅行のあいだずっと続きます。だからこそ、皆さんには同じ失敗をしてほしくないと心から願っています。

まず30秒:機内モードのオンオフと再起動
最初に試すのは、機内モードの切り替えです。一度オンにして10〜30秒待ち、もう一度オフにすると、端末が現地の電波を取り直しに行きます。
iPhoneはコントロールセンターの飛行機マークを、Androidは画面上部のクイック設定にある飛行機マークをタップします。これで変化がなければ、続けて端末を再起動してください。電源を入れ直すだけで通信が回復することは、現場でもよくあります。
「削除」「ネットワーク設定をリセット」をいま押してはいけない理由
設定画面には「eSIMを削除」「ネットワーク設定をリセット」という項目があります。どちらも一時的に魅力的に見えますが、海外で焦っているときに押すべきではありません。
削除は前述のとおり買い直しのリスクがあります。ネットワーク設定のリセットは、保存済みのWi-Fiパスワードまで消えてしまうため、現地でフリーWi-Fiにつなぎ直せなくなる恐れがあります。いずれも、原因を一つずつ消し込んでからの最終手段と考えてください。
症状から原因を探す|あなたの状態はどれ?
繋がらないと一口に言っても、画面の表示によって原因は異なります。下の表で、いま起きている症状に近いものを探し、対応するセクションへ進んでください。すべてを読む必要はありません。

対応機種か分からない方へ
EIDの有無や機種名から、eSIM対応端末かを確認する方法をまとめています。
原因①データローミングがオフ(最も多い見落とし)
海外でeSIMが繋がらない原因として最も多いのが、データローミングのオフです。設定そのものは正しくても、この一項目がオフだと通信は始まりません。
そもそもデータローミングとは
データローミングとは、自分が契約している会社以外の電波を借りて通信する仕組みのことです。旅行用eSIMは現地の通信会社の電波を使うため、この設定をオンにする必要があります。
iPhoneでの設定手順
iPhoneでは「設定」から「モバイル通信」を開き、該当するeSIMを選んで「データローミング」をオンにします。トグルが緑色になっていれば有効です。

Androidでの設定手順
Androidでは「設定」から「ネットワークとインターネット」、「SIM」と進み、該当のeSIMで「ローミング」をオンにします。機種によっては「接続」や「モバイルネットワーク」という名称の場合があります。

【結論】:「ローミングをオンにすると高額請求では」と怖がる必要はありません。請求が発生するのは、日本で契約している主回線のローミングをオンにしたまま使った場合です。旅行用eSIM側だけをオンにし、日本の回線側はオフにしておけば安心です。
ローミングは回線ごとに独立して設定できます。この仕組みを知らずにオン全体を避けてしまい、いつまでも繋がらないというご相談を数多く受けてきました。怖いのは「設定の取り違え」であって、ローミングそのものではありません。
データローミングと料金の関係については、総務省や端末メーカーの公式情報もあわせて確認しておくと確実です。料金体系は契約プランによって異なるため、購入したプランの案内を必ずご確認ください。
原因②データ通信の回線がeSIMになっていない(デュアルSIMの落とし穴)
ローミングをオンにしても繋がらないとき、次に疑うべきがこれです。1台で2回線を使うデュアルSIMの端末では、どちらの回線でデータ通信をするかを自分で指定する必要があります。

主回線・副回線・モバイルデータ通信とは
主回線は、ふだん日本で使っている電話番号の回線です。副回線は、今回追加した旅行用eSIMにあたります。モバイルデータ通信は、このうちどちらをインターネットに使うかという設定です。ここが日本の主回線のままだと、eSIMをオンにしても通信が始まりません。
iPhone:データ通信回線をeSIMに切り替える
iPhoneでは「設定」から「モバイル通信」を開き、「モバイルデータ通信」をタップして、旅行用eSIMが選ばれているか確認します。あわせて、該当のeSIMで「この回線をオンにする」が緑色になっているかも見てください。

Android(Galaxy含む):データSIMの選択手順
Androidでは「設定」から「ネットワークとインターネット」、「SIM」と進み、データ通信に使う回線をeSIMに指定します。Galaxyなどの一部機種では「SIMカードマネージャー」という名称になっているため、見当たらない場合はこのワードを探してください。
Appleの公式サポートが案内しているように、デュアルSIMでは意図しない回線がデータ通信に使われてしまうことがあります。海外で繋がらないときは、まずデータ回線が旅行用eSIMに向いているかを確認するのが近道です。詳しくはApple サポート「iPhoneでeSIMを使ったデュアルSIMに問題がある場合」も参考になります。
原因③現地キャリアにうまく繋がっていない(ネットワーク手動選択)
設定は正しいのに圏外が続く場合、端末が現地の正しい通信会社に接続できていない可能性があります。
なぜ「圏外」になるのか
旅行用eSIMの多くは、現地の特定の通信会社と提携しています。端末の自動選択が提携外の会社を掴んでしまうと、電波は見えているのに通信できない、という状態になります。
ネットワークを手動で選び直す手順
iPhoneでは「設定」から「モバイル通信」、該当eSIMの「ネットワーク選択」と進み、「自動」をオフにして、表示された中から提携している会社を選びます。Androidでも「SIM」の設定からネットワークの自動選択をオフにし、手動で選びます。提携している会社名は、購入時の案内や事業者の公式ページに記載されています。

【結論】:自動でつながらない国では、ためらわず手動選択を試してください。ただし、一度手動で固定すると、その国では他の電波に切り替わらなくなる点だけ覚えておきましょう。
私自身も渡航先で自動選択が提携外の回線を掴んでしまい、圏外から動かなくなった経験があります。リストから提携会社を手で選び直した瞬間に通信が回復しました。移動先で繋がりにくさを感じたら、この一手が効くことを知っておくと安心です。
原因④APN設定の確認と「構成プロファイルの干渉」
ここまで試しても直らないときは、APNという少し専門的な設定を確認します。中級者がつまずきやすい、見落としがちな原因です。
APNとは/手動入力が必要なケース
APNは、スマホがインターネットにつなぐための接続先情報です。多くのeSIMは自動で設定されますが、一部は手動入力が必要です。入力する値は、購入後に届くメールや事業者の公式FAQに記載されています。
格安SIM併用者の盲点:APN構成プロファイルの干渉
意外な落とし穴が、格安SIMの構成プロファイルです。UQ mobileやIIJmio、mineoなどを使っていると、以前インストールしたAPN構成プロファイルが端末に残り、eSIMの通信を妨げることがあります。
iPhoneでは「設定」から「一般」、「VPNとデバイス管理」と進むと、インストール済みのプロファイルを確認できます。eSIMが繋がらない原因として疑わしい場合は、該当のプロファイルを一時的に削除すると改善することがあります。

原因⑤5Gを掴み続けて不安定(LTE(4G)固定で改善)
電波マークが出たり消えたりする、速度が極端に遅いといった場合は、5Gが原因のことがあります。渡航先によっては5Gのカバー範囲が狭く、端末が5Gを探し続けて4Gにうまく切り替えられないことがあるためです。
LTE(4G)に切り替える手順
iPhoneでは「設定 → モバイル通信 → 通信のオプション → 音声通話とデータ」と進み、「LTE」を選びます(画面によっては「4G」表記のこともあります)。Androidでは「モバイルネットワーク」の設定で5Gをオフにするか、「4G/LTE」を選択します。出発前に切り替えておくと、現地で慌てずに済みます。

「アクティベート中…」から進まない時
「アクティベート中…」という表示のまま進まないと、不安になるかもしれません。ですが、これは故障ではありません。
「アクティベート中」が意味すること
アクティベートとは、回線の切り替えのことです。「アクティベート中」は、いままさに現地の回線へ切り替えている待機状態を指します。eSIM自体は正しく設定されているので、まずは安心してください。
解消の手順と、待つべき時間の目安
機内モードを一度オンにして数分待ち、オフに戻すと、切り替えが進むことがあります。それでも変わらなければ、端末を再起動して、安定したWi-Fiにつないだまま少し待ってください。解消までの時間は事業者により異なりますが、通常は数分〜数十分で完了します。1時間以上たっても変わらない場合は、事業者への連絡を検討します。
【結論】:「アクティベート中」が出ても、削除して入れ直すのは避けてください。多くは機内モードの切り替えと数分の待機で解消します。
この表示を「壊れた」と勘違いして削除してしまい、復旧できなくなるご相談が後を絶ちませんでした。アクティベート中は順調に進んでいる証拠でもあります。焦らず待つことが、結果的にいちばんの近道です。
それでも繋がらない|削除の前にやること&代替手段
ここまでの手順を試しても直らないときは、いよいよ事業者のサポートに頼る段階です。その前に、削除してよいかどうかを正しく判断しておきましょう。
プロファイルを削除してよいか:旅行eSIMとキャリアeSIMの違い
削除後にどうなるかは、eSIMの種類で大きく異なります。下の表で違いを確認してください。

ドコモのahamoの公式案内によれば、eSIMのプロファイルを削除した場合はオンラインでの再発行ができず、専用窓口への連絡が必要になります。旅行用eSIMはさらに条件が厳しく、買い直しになることが一般的です。削除は、この違いを理解したうえで、最後の手段にしてください。
サポートへの問い合わせ:伝えるべき4情報
問い合わせをスムーズにするために、次の4点を手元にまとめておきましょう。契約番号、端末のモデル名、症状が出た日時、そして画面に出ているエラーメッセージのスクリーンショットです。これらがあると、解決までの時間が大きく短縮されます。
今すぐ通信を確保する代替手段
復旧を待つあいだも、移動は続きます。まずは空港やカフェ、ホテルのフリーWi-Fiを探してください。どうしても必要なら、日本の主回線のローミングを一時的に使う方法もありますが、高額になりやすいため短時間にとどめます。滞在が長引くなら、現地の空港や携帯ショップでSIMやeSIMを買い直すのも現実的な選択肢です。
設定画面を見ながら確認したい方へ
iPhone・Android別の画像付き手順で、eSIMの設定を最初から確認できます。
よくある質問(FAQ)
問:eSIMを削除してしまいました。復旧できますか?
答:旅行用eSIMは同じコードを読み直せず、買い直しになることが多いです。キャリアのeSIMであれば、各社のマイページや店舗で再発行できます。まずは購入元のサポートに連絡してください。
問:データローミングをオンにすると高額請求されますか?
答:請求が発生するのは、日本の主回線のローミングを使った場合です。旅行用eSIM側だけをオンにし、主回線をオフにしておけば問題ありません。料金はプランにより異なるため、案内をご確認ください。
問:繋がらないので返金してほしい。可能ですか?
答:返金やキャンセルの可否は事業者や時期によって異なります。詳しい条件は、をご確認ください。
問:帰国後、日本の回線に戻すにはどうすればよいですか?
答:旅行用eSIMのローミングをオフにし、日本のSIMのモバイルデータ通信をオンに戻します。も紹介しています。
問:海外用eSIMを日本でうっかりオンにしてしまいました。
答:多くの場合、日本が対象外のプランなら通信は始まりません。不安なときは回線をオフにしておけば安心です。詳しい対処は、をご確認ください。
まとめ|直す順番と、次の一手
海外でeSIMが繋がらないときは、削除に手を伸ばす前に、決まった順番で確認するのが復旧への近道です。機内モードのオンオフ、再起動、データローミングの確認、データ回線の選択、現地キャリアの手動選択。この流れで、多くのトラブルは解決します。
繋がらないと焦ってしまいますが、あなたのeSIMはほとんどの場合、壊れていません。一つずつ落ち着いて試せば、きっとまた地図も翻訳もつながります。
次の旅行でこうした不安をなくしたい方は、設定がわかりやすく日本語サポートのあるeSIMを選んでおくと安心です。購入時の設定手順や利用開始のタイミングも、出発前に確認しておきましょう。
著者情報
監修・執筆:グローバルモバイル サポートスタッフ 最終更新日:2026年7月
日常的に海外渡航者向けサービスのサポート窓口でお客様の疑問や設定トラブルに対応している現役スタッフが共同執筆。現場でよく寄せられるリアルなご質問や、つまずきやすい設定ポイントを実務経験に基づいて解説します。
参考にした主な情報源
- iPhoneでeSIMを設定できない場合 – Apple サポート(日本)
- iPhoneでeSIMを使ったデュアルSIMに問題がある場合 – Apple サポート(日本)
- iPhoneで5Gを使う – Apple サポート(日本)
- eSIMを削除してしまいました。どうすればよいですか? – ahamo
- eSIMプロファイルを誤って削除してしまいました – IIJmio
次回のトラブルを防ぐために、設定手順を確認しておきましょう
つながらない原因を整理したら、設定手順や切り替えタイミングも確認しておくと再発防止につながります。

